2011-08-10

6.やったね! 吉田寮ほぼ100周年祭



【前回までの記事を参照の事】
ということで私たちは、食堂やその周辺で、さらに面白いことをしていきたい、そして食堂をさらに色々な人が出会えるような場にしていきたいと思っています。

吉田寮は今年でなんと築98年になります! 今年はこれにちなんで9月に「やったね! 吉田寮ほぼ100周年祭」を開催します。食堂に関連のある、あるいは全く関連のない、様々なイベントの開催を予定しています。

現在会議を開いて、どのようなイベントにするかを話し合っている段階です。「こんな企画がやりたい」とか、「よく分からないけど、とりあえず面白そうだから関わってみたい」という方、ぜひ会議に参加してみてください。本当にどなたでも大歓迎です。企画の内容について詳細がまとまり次第、ビラや立て看板などにて盛大に周知する予定です。

ぜひみなさんに、食堂に来てほしいと思っています。食堂を見てもらいたい。食堂で話したい。一緒に食堂のこと、吉田寮のこと、もっともっとたくさんのことを考えていきたい。みなさんの参加を心からお待ちしています。

「やったね、吉田寮ほぼ100周年祭」
期日:2011年9月23日~10月2日
予定されている企画:
・ほぼ100祭食堂ライブ
・吉田寮しばい部 旗揚げ公演
・木造建築の専門家による、吉田寮に関する講演会
・鴨川レースほぼ100祭ver.
・吉田寮のペーパークラフト販売

5.食堂の現状 ~食堂は補修可能です!~



吉田寮自治会は、上記のような意義を持つ食堂を、補修して残していきたいと考えています。そしてそのことについて、大学当局と話合いを行ってきました。今のところ大学当局は食堂に関して「おそらく耐久性、技術面などを考慮すれば、補修という選択肢は現実的ではなくなるだろう」ということを述べています。また大学の敷地を「有効に」活用するうえで、食堂を残しておくことは望ましくないという意思を見せています。食堂を今後どうしていくかということはまだ話合いの最中であり、決定はしていません。

実際食堂に関して、本当に補修して残すことが可能なのか、と思っている方は多いでしょう。しかし、木造建築の専門家によれば、食堂を補修することは可能、しかも全くもって現実的だということです! 木造建築は鉄筋コンクリートの建物とは違い、メンテナンス続けていけば半永久的に使用できるものです。現食堂についても、食堂を建った当時の状態に近付けるような補修が可能であり、そのような補修は金銭的にも現実的で、かつ耐震の問題も十分に解決できるということです。

そもそも吉田寮は、今でこそ「お化け屋敷みたい」などといわれる建物ですが、建てられた当時(大正3年)には当時の一流の技術者が学生の寄宿舎として、よい木造建築としていつまでも使えるようにと、最高級の素材と最先端の技術を用いて建てあげたものなのです。現寮や食堂に関しては、諸所の装飾や木の組み方などにもそれが表れています。だからこそ築98年たった今でも、建てられた当時から恒常的なメンテナンスはほとんどなされなかった(これは大学当局の怠慢といわざるをえません!)にも関わらず、現寮については、土台はゆがみや亀裂が入ることもなくしっかりしており、床下の通気も非常に良好な状態で保たれているのです。食堂も同様で、屋根の木組みなどはしっかりしており、とてもいい状態で保存されているとのことです。みなさん、吉田寮が木造であったり古い建物であるからといって、その見た目やイメージだけをもとに、今にも崩れそうだとか、もうこれは建替えるしかないだろうなんて思っていませんか。それは大きな間違いです。

さらに吉田寮の木造建築には建築としての価値もあります。全国的に見ても、これほど古い木造の寄宿舎として現存しているものは吉田寮のほかにありません。またなによりも、上でも述べたように歴史が目に見えるかたちで残っているという点で貴重だといえるでしょう。建てては壊し、というふうに建物を消費していくことが一般的になっているなかで、まだ補修すれば十分に使っていける吉田寮の木造建築を、今後も補修して大切に使っていくということは、非常に意義があることではないでしょうか。こういうわけで私たちは、食堂を補修したいと思っているのです!

4.食堂という場所は、多くの人の思いが積み重なってできている!



食堂はさらに、上で述べたような経緯、歴史のあとを目に見える形で残している建物でもあります。壁に重ねられた落書き、いつのものか分からない貼紙、そのほか、今までに様々な人が使ってきた痕跡が食堂には残っています。食堂を訪れた人のなかには「食堂の雰囲気がいい」という人がよくいますが、この雰囲気とはつまり、人の使ったあとが積み重ねられていることから生じるものではないでしょうか。そういった積み重ねが目に見える形で残っているからこそ、ここで何かやりたいという気持ちや、インスピレーションが湧きおこってくる。まっさらで無機質で、人の使ったあとが何も残らないようなスペース、そんなところでは「何かをやりたい」という気持ちにもなりにくいでしょう。実際に食堂で音楽をやったり、芝居をしたりするひとのなかには「この食堂だからやりたいんだ」という人が大勢います。多くの人へ開く場所となってきたという経緯、つまり歴史が、目に見えるかたちで残っているということ、それが食堂を使ってなにかやりたいという人がたくさんいる理由でしょう。

3.食堂にまつわる経緯、歴史



食堂がこのように、多くの人に開かれた場所として使われ始めたのは、吉田寮の在寮期限闘争(~年)のころからです。在寮期限闘争とは、大学当局が吉田寮に対して一方的に在寮期限をつきつけ吉田寮を廃寮化しようとしたときに、当時の寮自治会が抗議を行ってそれを撤回させた一連の経緯のことです。

当時の自治会は廃寮化を阻止しようとする過程で、吉田寮を外部へ開いていこうとしました。それは吉田寮に関わる潜在的な当事者の存在を明らかにして、大学当局へ強く主張していくためでした。それまでは男子学部生しかいない寮だったのですが、食堂などを中心に、積極的に外部の人と関わる場としていったのです。それによって男子学部生だけでなく様々な立場の人の視点が取り入れられ、今の自治会の理念(当事者間の合意で物事を決める、様々な立場の人を排除しない)が形成されました。入寮資格の拡大が行われたのも当時です。女子学生、留学生、大学院生、聴講生などの入寮、また同伴入寮なども可能になりました。

こういった流れの中で食堂は寮と寮の外をつなぐ場所として使われるようになり、そこで様々な人が出会ったことによって、理念が生まれ、面白い活動が生まれてきたのです。言いかえれば食堂は、吉田寮が外に開いていく上でなくてはならない場所だったのです。食堂が現在開かれた場所となっていることにはこのような経緯があり、食堂は寮生やそのほか食堂に集まる人たちにとって非常に重要な役割を果たし続けているのです。

2.どうして食堂は、自由に使えるスペースなの?



吉田寮食堂が自由に使えるスペースとなっているのは、先ほども触れましたが、食堂がそれを使う人によって運営されているからです。何か食堂でやりたいということがある人は誰でも、食堂の運営について話し合う会議に出席し、自分たちはこのような活動がしたいということを話すことができます。私たちは食堂を話し合って運営するということで、何らかの規則を一方的に決められたりおしつけられたりせずに、自分たちがよりよいと思う使い方を実現していこうとしているのです。だからこそ食堂ではいろんなことができるし、それこそ他ではありえないような面白いことができる。つまり食堂を使用することは、食堂というスペースをたんに借りるのではなく、食堂を積極的に使う、そこをよりよい場にしていこうとすることなのです。

何をするにしたって、よく分からない第三者や偉い人が決めたことに従っているのはつまらないし、それでは本当にやりたいことができない。要するにもう、自分たちで面白いことをやってやろうじゃん、っていうことです!

1.吉田寮食堂って、どんなところ?



吉田寮食堂は、いつでもだれでも来ることができて、何でもできるスペースです。こんな素敵なスペースを、私たちは補修して残していきたいと思っています! 具体的に言うと、食堂は現在では、楽器の練習やライブ開催、劇団の公演、その他イベントなどに使用されています。

なんだ、そんな場所どこにでもあるんじゃない、って思ったそこのあなた、本当にそうでしょうか? 例えば、大学のサークルボックスや教室貸出しに関しては、大学の公認団体しか使えない、時間制限がある、あるいは占有使用ができない(活動に必要な機材などが常時置けない)など様々な制約があります。

そもそも場所を使うということは本来、そこを使う人どうしが話し合って使い方を決めていくということですよね。しかし最近では、ある場所の使い方が第三者により一方的に規定されてしまうことで、よりよい使い方を模索することや、そもそも話し合うことによって生まれる人と人の出会いが阻害されてしまうようなことが多いように思われます。

特に大学構内に関しては、本来はあらゆる人が自由に活動できる場所のはずなのに、最近はやたらと規制が増えて、自由に使ったり出入りしたりできる場所が減ってきています。現在食堂が大学の中にあるということは、大学の性質を考えれば非常に大切なことです。

また大学以外の公共スペース(例えば鴨川沿いや駅、道路など)についても、最近ではよく分からない第三者に、一方的にルールを設定されていることが多くはないでしょうか。そうではなくて、使っている人たちで話し合って合意が取れれば、何だってできる! 私たちは食堂をそのような場所として使ってきましたし、これからも使っていきたいと考えています! そしてむしろ食堂のような場所が、色々なところに増殖していけば楽しいだろうなあと思っているのです。そういった場所が少ないなかで、食堂というのはひとつの確保された場所であるという点で、貴重であるといえるでしょう。